ちょっと前の記事で、音程の基本的なことについてご紹介しました。
音程度数の数え方とか、完全系の音程、長短系の音程、全音・半音などなど。
ごく基本的な音程の知識としてはあれだけでも良いんですけど、もう少し知識を深めると、「あ、この人は音程について結構知ってる~」と少し一目置かれるようになります。
ということで、今回は音程の知識をもう少し深める、いわば「中級編」的な増音程・減音程・重増音程・重減音程について勉強していきます。
「初級編」の内容はもう十分で、もう少し音程について深く知りたい方のための内容です。
今回も楽譜やピアノ鍵盤画像を使ってご説明しますね。
※この記事は1度アップしたものですが、初級・中級・上級の3部に分けて改めて再アップしました。最初の内容を確認したい方は初級を、今回の内容を把握出来ていると感じた方は上級をお読みくださいね。
音程の度数「増・減」「重増・重減」
では、初級編から少しレベルアップした中級編に入っていきましょう。
まず増・減の音程について。
「増・減」の音程
最初に、全音・半音についておさらいしてみてください。
- 全音=長2度
- 半音=短2度
様々な音程は、全音と半音が決まった数で構成されていましたね。
ここに音程の法則をもう一度載せておきますので、これを元に読み進めていってください。
- 完全1度⇒同一音
- 長2度⇒全音1つ
- 短2度⇒半音1つ
- 長3度⇒全音2つ
- 短3度⇒全音1つ・半音1つ
- 完全4度⇒全音2つ・半音1つ
- 完全5度⇒全音3つ・半音1つ
- 長6度⇒全音4つ・半音1つ
- 短6度⇒全音3つ・半音2つ
- 長7度⇒全音5つ・半音1つ
- 短7度⇒全音4つ・半音2つ
- 完全8度⇒全音6つ・半音2つ
音程の初級編をおさらいしたい方は下のリンクからどうぞ。
では下の音程を見てみましょう。
分かりやすく2つの音の間の音符をピンクで書きましたが、上の譜面①はド~♯ソ、②はド~♭ソまでの音程を表したものです。
①も②も音程度数は5度です。
これまでに説明した内容だと、ド~ソまでの5度の音程だったら、3つの全音と1つの半音で構成された完全5度ということになっていました。
でも、ソの音に♯や♭が付くとこの法則が当てはまらなくなるね。
①は全音が2つと半音が1つ・ファ~♯ソは全音でも半音でもないという構成だし、②は全音2つに半音2つという構成になっているから分からないですよね。
こういう場合に使われるのが「増・減」という言葉です。
まず①のド~♯ソの音程の場合は、完全5度であるド~ソに比べて半音分音程の幅が広くなっています。
このように、半音分広がった完全系の音程は「増」という言葉を使います。
ですので、①の音程は「増5度」が正解です。
②のド~♭ソの音程の場合は、完全5度であるド~ソに比べて半音分音程の幅が狭くなっています。
半音分狭くなっている完全系の音程は「減」という言葉を使います。
ですので、②の音程は「減5度」が正解。
広がったときは増(増える)、狭まったときは減(減る)で分かりやすいですよね。
ではさらに次の音程を見てみましょう。
これは1つの全音で構成されているので長2度の音程です。
長2度=全音でしたね。
それを踏まえて次の音程を見て下さい。
レの音が♭になったことで、さっきの長2度の音程の幅が半音分狭くなりましたね。
半音分音程の幅が狭くなったら「減」という言葉を使うから、この音程は減2度なんじゃない?
そう思っちゃうかもしれないけど違うんですよね。
このレが♭になった音程は、半音1つという構成になっています。
音程の法則に沿って考えると、半音1つという構成の音程は短2度ですので、ミが♭になったこの音程の答えは短2度になります。
半音=短2度でしたよね。
ここで大切なことは、「長」の音程の幅が半音分狭まると、「減」ではなく「短」になるということです。
そしてこれを逆に考えると、「短」の音程の幅が半音分広がると、「増」ではなく「長」になるということ。
初級編で長・短の音程は同じ系列として考えますとお伝えしましたが、それはこういった理由があるからです。
さらに、こちらも見てみましょう。
上の方は長2度(全音)よりも半音分音程の幅が広がっているので増2度です。
下の方は短2度(半音)より半音分音程の幅が狭まっているので減2度になります。
①のド~♯ソの増5度の楽譜の所にあった、全音でも半音でもないと書かれたところは増2度になります。確認してみてくださいね。
この増・減の内容をまとめると次の3つになります。
- 「完全」の音程が半音分広がると「増」になり、半音分狭まると「減」になる。
- 「長」の音程が半音分広がると「増」になり、半音分狭まると「短」になる。
- 「短」の音程が半音分広がると「長」になり、半音分狭まると「減」になる。
次に、この増・減をさらに応用させた重増・重減を見ていきましょう。
「重増・重減」の音程
次は、重増・重減の音程です。
次の4つの例を見てみましょう。
この4つの音程は重増の音程と重減の音程ですが、増音程と減音程との違いが分かったでしょうか?
重増とは増を半音分広くした音程、重減とは減を半音分狭くした音程のことです。
先程の、増5度や減5度・増2度・減2度と比べてみると、それぞれ半音分音程の幅が広がっています。
重減2度の#ド~♭♭レを見ると、楽譜上では#ドよりも上に書いてある♭♭レが、鍵盤上だとドよりも下にあるね。
鍵盤上で表わすとありえないような音程が出てくることもありますが、理論上の音程として考えるようにしてください。
音程の幅について分かりやすく示した図があります。
こちらを頭に入れておくと、完全・長短・増・減・重増・重減について理解しやすくなりますよ。
まとめ
今回は、「増・減」の音程度数について勉強してみました。
ごく普通の音程の数え方からさらに一歩進んだ数え方が「増・減」とか「重増・重減」になります。
増・減や重増・重減の音程の響きは、どちらかというと不安定で緊張感や不安感にあふれた響き。
例えば、増4度はトリスタン和音と言って不安感を表現するのに使われたり、減5度はブルースコードと言って哀愁感漂う響きになります。
安定感のある響きの音程もいいですが、音楽にはこういった響きも必要ですよね。
音程は各度数によって個性があるので、響きの雰囲気がつかめれば音楽の表現にも役立ちます。
音程の度数の知識を取り入れて、あなたの音楽ライフをますます豊かにしてください。
中級編はもうバッチリだという方は、上級編を読んでみて下さいね。