音程とは「2つの音の高さの隔たりのこと」をいいます。
つまり、2つの音の高さがどれくらい離れているかということですね。
例えばドとレは隣同士とか、ドとミだったらミはレの隣だからドの隣りの隣りがミ、ドとファだったらドの隣りの隣りの隣りが・・そんな風になりますが、いちいちこういう言い方をするのは大変。
こういった音程を表すには「度数」が使われ、1度とか3度とか6度というような言い方をします。
でも単に数字だけでなくもっと正式な呼び方がありますので、今回は音程の数え方やその他基本的な内容いわゆる初級編を勉強していきましょう。
楽譜やピアノ鍵盤画像を使って、なるべく分かりやすくご説明しますね。
※この記事は1度アップしたものですが、初級編・中級編・上級編の3部に分けて改めてアップしてあります。初級の内容を把握されていると感じられた方は、中級・上級をお読みくださいね。
音程の度数の数え方やその他「初級編」
先程も書きましたが、音程は4度とか7度などといった数字を使って表されます。
はじめに、この音程の度数の数え方から見ていきますね。
度数の基本的な数え方
上の画像の赤いしるしが付いているドとレの音程は何度でしょうか?
答えは「2度」です。
音楽を学び始めたばかりの方ですと、このドとレの音程を「1度」と考えている場合があります。
確かに、1つ上の音あるいは1つ下の音は隣同士なので、音程が1度かなと考えそうですね。
1つ隣りだったら1度、2つ隣りだったら2度なのかと思っちゃう。
つまり、その考え方だと起点となる音を「0」と考えて数えているんですよね 。
「起点」とは音程を数え始める音のこと。
音程は起点となる音を1と考えて数えます。
そうすると隣同士の音は2度、つまりドを起点として数え始めると次のレとの音程関係は2度ということになります。
この音程の数え方の基本をふまえて、ピアノ鍵盤の真ん中のドから1オクターブ上のドまでの音程を見てみましょう。
ドから数えた基本的な音程度数 | |
1度~8度までの音程に、①~⑧までの番号を付けてみました。
①のドとドのように高さが全く同じ音の音程は1度と数えます。
同じ高さの音同士でも音程関係が存在します。
度数に付ける「完全」と「長・短」
では、先程の①~⑧までの音程表にちょっと言葉を加えて種類を少し増やしてみます。
先ほどの①~⑧までの表の音程度数に赤文字で「完全」、「長(ちょう)」、「短(たん)」などの文字を付けました。
それと、②~③、⑥~⑦の2、3、6、7度は同じ度数でも2種類ずつありますね。
音符にフラット(♭)を付けたものを加えてみました。
最初に例に挙げた、鍵盤に赤のしるしが付いたドとレの音程は2度ですが、正確には「長2度(ちょうにど)」といいます。
また、上の画像④ドとファの音程の度数は4度ですが、こちらも「完全4度(かんぜんよど)」というのが正解。
このように、度数の前に「完全、長、短」などの文字を入れるのが正しい音程の表し方です。
では完全・長・短はどのように区別するのか見ていきましょう。
- 完全系の度数⇒1・4・5・8度
- 長短系の度数⇒2・3・6・7度
完全系・長短系はこのように度数によって分けられます。
※長と短は同じ系列とされているので、音程の種類として区別する時は「完全・長・短」と3種類ではなく、「完全」と「長短」の2種類として考えます。
では次に、音程度数の構成について重要な「全音・半音」について説明します。
全音と半音
音程といえば避けて通れないお話が「全音と半音」。
全音・半音とは、隣り合った2つの音(2度関係の2つの音)の関係性を表す用語です。
ドとレとか、ミとファ、ソとラなど、隣同士の2つの音関係ですね。
すべての度数は音の構成がきっちりと決まっていて、その音の構成は全音・半音という言葉を使って表すことが出来ます。
まず全音・半音の関係の音がどんなものかいくつか例を見てみましょう。
全音関係 | 半音関係 |
全音・半音の違いが、何となく分かるような分からないような・・。
もう少し分かりやすくするために、これをピアノの鍵盤上で考えてみましょう。
全音関係 | |
半音関係 | |
ピアノの鍵盤上で考えてみると違いがより分かりやすくなります。
簡単に言うと、隣り合ったの白鍵同士や黒鍵同士の音は全音、白鍵と黒鍵が1つずつあると半音です。
でも4つだけ例外があります。
それは「ミ・ファ」「♯レ・♯ファ」と「シ・ド」「♯ラ・♯ド」。
4つの例外 | |
先程、隣り合った同じ色の鍵盤同士は全音関係と言いましたが、この「ミ・ファ」「♯レ・♯ファ」「シ・ド」「♯ラ・♯ド」は他の同じ色の鍵盤同士とは違った点があります。
その前に挙げた全音である白鍵同士・黒鍵同士は、2つの鍵盤の間に音が1つ挟まれています。
しかし、例外である「♯レ・♯ファ」と「♯ラ・♯ド」の黒鍵同士の間には音が2つ挟まれていますし、「ミ・ファ」「シ・ド」の白鍵同士の間には音がありません。
下の図で確認してみましょう。
全音(同じ色の鍵盤に挟まれた音1つのみ) | 全音じゃないもの(同じ色の鍵盤に挟まれた音がない、あるいは2つある) |
このように白鍵2つの間に音1つ、あるいは黒鍵2つの間に音1つ挟まっている状態が全音となります。
こういった理由から、2つの間に音が挟まれていない「ミ・ファ」「シ・ド」は半音と分類します。
そして、黒鍵2つの間に音が2つ挟まれている「♯レ・♯ファ」「♯ラ・♯ド」は、度数でいうと3度関係なので、全音でも半音でもない、ということになります。
全音・半音は2度関係にある2つの音のことでしたね。
各度数の全音・半音の構成
全音・半音について理解出来たでしょうか。
次に、全音・半音が音程の度数の中でどのように構成されているかを見ていきます。
各度数は、この全音と半音が決まった数だけ含まれています。
完全系の度数は1・4・5・8度で、長短系の度数は2・3・6・7度でしたが、それを思い出しながら次の一覧表を見てみましょう。
(3度以上の音程には構成を分かりやすくするために、2つの音の間に含まれている音をピンク色の音符で書き加えてあります。)
完全系・長短系の音程の構成 | ||
完全1度 | ||
長2度 | ||
短2度 | ||
長3度 | ||
短3度 | ||
完全4度 | ||
完全5度 | ||
長6度 | ||
短6度 | ||
長7度 | ||
短7度 | ||
完全8度 |
この表を見て気づいた方もいると思いますが、長2度=全音、短2度=半音です。
全ての度数は全音関係と半音関係が必ず決まった数だけ入っているので、起点ともう1つの音の間に含まれている全音・半音の数を見て度数を判断します。
ここで、これまでの例に出した音程の楽譜の派生音は♭がついたものだけでしたが、♯をつけたものを2つ見てみましょう。
短2度 | ||
短7度 |
#ド~レの楽譜は1つの半音だけで構成されているので短2度、#ド~ラの楽譜は3つの全音と2つの半音で構成されてるので短7度になります。
まとめ
今回は、音程の度数の数え方や基本的な内容、いわば初級編を勉強してみました。
私の父がサックスの音楽団体に入った頃、音程の数え方が分からないと言ってきました。
父は還暦手前で初めて音楽を学び初めたせいか、音程の度数とか理論的な事が理解出来ていませんでした。
そして自分なりに考えた音程の度数の数え方が、「ドとその隣のレの音程は1度」ということだったらしいです。
ちなみに、オカリナを始めたばかりの音楽初心者である私の夫も同じように考えていました。
このように、音程の度数の数え方を誤解している方が他にもいらっしゃるかもしれないと思い、今回の記事を書いてみました。
最初のうちは、その都度しっかり数えないと分からないかもしれませんが、慣れてくればすぐに度数の感覚が分かってきます。
音程の度数の知識を取り入れて、あなたの音楽ライフがますます豊かになりますように。
初級の内容はよく分かったという方は、もう1歩進んだ「中級編」もお読みくださいね。