世の中には色んな種類の楽器がありますね。
鍵盤を操作して音を出す鍵盤楽器、弦に刺激を与えて音を出す弦楽器、管の中に空気を送り込んで音を出す菅楽器、手やバチ等で打つ・擦る・振るなどして音を出す打楽器などなど。
中でも、菅楽器は木管楽器・金管楽器に分かれます。
私はクラリネットを吹いていますが、この楽器は木管楽器。
クラリネットの主な材質は木なのでこれが木管楽器というのは分かるけど(木製でないクラリネットもありますが、一般的ではないのでここでは除外します)、中には木製でない木管楽器もあります。
例えば、フルート。
フルートって金色とか銀色の金属で出来ているから金管楽器じゃないの?と思われそうですが、これも木管楽器なんです。
私も、どうしてかは分からないけどフルートは木管楽器と教わってきたので特に疑問は持たず、あ~木管楽器なんだな~と思ってきましたが、そういえば何でなんでしょうね。
フルートの例からみると、木で出来ている=木管楽器というわけではなさそうというのは確かなようです。
今回は木管楽器の種類とそれをまとめた一覧をみていきます。
木管楽器の一覧と種類について
では、まず木管楽器の一覧を見て頂いて、そのあとに木管楽器はどうやって音が出ているかということと種類について説明していきます。
木管楽器の一覧と音が出る原理
では木管楽器の一覧を見てみましょう。
エアリード(横笛) | フルート類 | シングルリード | クラリネット類 |
龍笛(りゅうてき) | ザフーン | ||
神楽笛(かぐらぶえ) | サクソフォーン類 | ||
能管(のうかん) | ターロガトー | ||
篠笛(しのぶえ) | ダブルリード | オーボエ類 | |
エアリード(縦笛) | リコーダー類 | ファゴット類 | |
ティン・ホイッスル | ズルナ | ||
尺八 | チャルメラ | ||
ケーナ | 篳篥(ひちりき) | ||
エアリード(その他) | オカリナ | フリーリード | 笙(しょう) |
サンバホイッスル | ハーモニカ | ||
パンフルート | アコーディオン | ||
バンドネオン |
この一覧以外にも色々な木管楽器がありますが、主なものだけを取り上げてまとめました。
オーケストラや吹奏楽で使われるクラリネットなどが木管楽器だと思いつく方は多いでしょうが、リコーダーやオカリナ、雅楽で使われる龍笛(りゅうてき)や笙(しょう)、ハーモニカ、アコーディオンまでもが木管楽器とはなかなか思いつかないかもしれませんね。
木管楽器は大きく分けると次の4種類になります。
- エアリード楽器
- シングルリード楽器
- ダブルリード楽器
- フリーリード楽器
「リード」という言葉がやたらと出てきましたが、元々リードとは葦(あし)という植物のことで、楽器用語としては植物・金属・その他で作られた平たい切れ端のような形状のものを指します。
参考にクラリネットとファゴットのリードを見てみます。
上記のリードは植物の葦(あし)で出来ているものですが、リードの素材や形はいろいろ。
この「リード」が木管楽器の音を出す要素に深い関りがあるのです。
楽器内に空気を送り込み、それが楽器にセッティングされたリードを振動させて音を出すというのが木管楽器の基本的な音が出る原理です。
ちなみに金管楽器は、マウスピースを口に当てて唇をブルブル振動させることにより音が出ます。
金管のように唇を振動させずに、楽器内に空気を送り込んで音を出す楽器のことを木管楽器といいます。
簡単に言うと、金管楽器以外の管楽器のことを木管楽器と言うんですよね。
木管楽器は金管楽器のように唇でなく、リードを震わせて音を出している、というわけです。
木管楽器という呼び方の由来は、この手の楽器が昔は木製で菅状の楽器が多かったためです。
しかし時代と共に木製や管状ではないものが増えたため、現代では楽器の素材ではなく音を出す原理によって楽器の種類が分けられています。
次に木管楽器の種類ごとに見ていきましょう。
エアリード楽器
先程の一覧表から、エアリード楽器をあらためて抜き出してみます。
- 横笛⇒フルート類、龍笛(りゅうてき)、神楽笛(かぐらぶえ)、能管(のうかん)、篠笛(しのぶえ)
- 縦笛⇒リコーダー類、ティン・ホイッスル、尺八、ケーナ
- その他⇒オカリナ、サンバホイッスル、パンフルート
フルートなどおなじみの西洋楽器の他に、雅楽で使われる和楽器もけっこう含まれていますね。
エアリード楽器にはリード本体は存在せず、マウスピースから息を楽器に吹き込むことにより菅内に気流を発生させ、それが空気を振動させて音を出します。
ビール瓶の注ぎ口に唇をそえて息を吹き込むとフォ~という感じの音が出ますよね。
あれと同じような原理です。
また、リコーダー・オカリナなどはフルート類や龍笛などと違い、マウスピース部分を直接口でくわえて息を吹き込み、楽器内に気流を起こして音を出します。
「エアー=空気」の流れで管内に振動を作り音を出すのが、エアリードの楽器なんですね。
ちなみに、サンバホイッスルはフルートなどエアリード楽器奏者がではなく、打楽器奏者によって演奏されます。
エアリードの楽器の音の特徴は、これこそ「笛」といった軽やかさ。
例えるなら、さわやかな風・空気のようなイメージですね。
シングルリード楽器
シングルリードは、先ほどの一覧表でいうと次の楽器です。
- クラリネット類
- ザフーン
- サクソフォーン類
- ターロガトー
シングルリード楽器は、1枚のリードをマウスピースにセッティングし、リードが付いたマウスピースをくわえて空気を送り込み、リードを振動させて音を出す楽器です。
フルートやリコーダーなどのようなエアリードではなく、リード本体を楽器にセッティングしそれを口にくわえて空気を送り込みます。
リードの大きさは楽器によって少し違いますが、基本的には大体同じ形状です。
ザフーンとターロガトーについて少し説明しましょう。
ザフーンはハワイで作られた楽器で別名「ポケットサックス」とも言われ、大きさはソプラノリコーダーくらい。
元々竹製でしたが、2000年以降は樹脂製が出来て広く知られるようになりました。
ターロガトーは、ハンガリーやルーマニアなどで広く使われ、大衆音楽によく使われる楽器で、見た目はクラリネットに似ています。
元々ダブルリード楽器でしたが、シングルリード楽器が開発されてからはこちらの方が一般的になりました。
シングルリードの音色の特徴は、甘さや渋さがあり柔軟性豊かであること。
ザフーンはどちらかというとサクソフォーン寄りの音、ターロガトーはクラリネットとサクソフォーンの間のような音が出ます。
ダブルリード楽器
先程の一覧表でいうと次のものがダブルリード楽器です。
- オーボエ類
- ファゴット類
- ズルナ
- チャルメラ
- 篳篥(ひちりき)
ダブルリード楽器は2枚のリードを重ね合わせて楽器にセッティングし、リードを直接口でくわえて空気を送り込むことによりリードを振動させて音を出します。
シングルリードとの違いは次の2点。
- リードを2枚使う。
- マウスピースは使わず、リードのみをくわえて音を出す。
オーボエやファゴットは西洋楽器としてよく知られていますね。
ズルナや篳篥について少し説明します。
ズルナはトルコの民族楽器で、とても音が大きく舞踊などでよく使われて、オーボエやファゴットの原型であるとも言われています。
篳篥は雅楽でよく使われる楽器ですね。
構造はオーボエに似ていて、「雅楽の三菅」の1つと言われます。
「雅楽の三菅」とは、笙(しょう)・龍笛(りゅうてき)・篳篥のことで、笙は天から差し込む光、龍笛は天と地の間を泳ぐ龍、篳篥は地にいる人の声を表しているそう。
ダブルリード楽器の音の特徴は、 少しエスニック風で東洋的な響き。
リードを直接口でくわえることもありシングルリードよりもリードのこだわりが強く、カスタマイズ度が高いですね。
フリーリード楽器
フリーリード楽器は、先程の一覧表の中でいうと次の楽器です。
- 笙
- ハーモニカ
- アコーディオン
- バンドネオン
フリーリード楽器はリードを直接口でくわえず、楽器に何らかの方法で空気を送り込み、それで楽器内に設置されたリードを振動させて音を出す楽器です。
リードは金属か樹脂製であることが多く、長さ・太さなどサイズの違うものが複数枚使われます。
木管楽器について調べている時、アコーディオンやバンドネオンって木管楽器なの?と思いました。
しかし、アコーディオンやバンドネオンは管楽器であり、木管楽器の音が出る原理を満たしているので、大きなカテゴリーで見ると楽器分類学上木管楽器に入るようです。
様々な分類方法によって、アコーディオンやバンドネオンなどは木管楽器でないとする場合もあるようですが、今回は木管楽器の仲間に入れて考えました。
笙やハーモニカは楽器に口をつけて空気を送り込み、それによって楽器内のリードを振動させて音を出し、アコーディオンやバンドネオンは手動で蛇腹部分を動かして空気の流れを作り、それによって楽器内のリードを振動させて音を出します。
フリーリードの楽器の音の特徴は、少しレトロ感があるような響き。
私のイメージとしては「秋」がぴったりな音色。イチョウの葉っぱやきれいな枯葉のような感じで私は大好きです。
参考に、金管楽器の一覧を見てみたいなという方はこちらの記事をどうぞ。
まとめ
今回は、木管楽器の種類を一覧にしてご紹介しました。
実際に木製のものもありますが木製でないものもある、不思議で種類豊富な木管楽器の世界。
例えば、フルートの原型はフラウトトラヴェルソという木製の横笛で、リコーダーのような音を出す楽器でした。
現在のフルートが開発されてからはこちらが広く使われるようになりましたが、フラウトトラヴェルソは消滅したわけではなく、現在でも古楽器としてバロック音楽を演奏する際によく登場します。
今回は基本的な楽器を中心にした一覧でご紹介しましたが、実際はもっと楽器の種類も多くてより複雑に分類されている木管楽器。
それだけ奥深い世界なんですよね。
楽器の種類が違っても音色が似ている弦楽器や金管楽器と違い、木管楽器の音色は楽器により個性豊かで、それらが重なり合うアンサンブルはとても色彩豊か。
聴いていても楽しさ・面白さ倍増です。
今度木管楽器を直接目にする機会あれば、今回の木管楽器の知識を頭に入れつつ楽器に触れたら、あなたも木管楽器博士になれるかも?しれません。