大きな演奏団体の代表的なものと言えば、オーケストラ、吹奏楽、ブラスバンド。
3つとも真ん中に立っている指揮者を取り囲むように半円形に座って、数十人くらいで演奏しています。
パッと見た感じ、オーケストラも吹奏楽もブラスバンドも同じように見えてしまいますね。
でもそれぞれ楽器構成も違いますし、音楽の個性も異なります。
また、オーケストラと吹奏楽の違いは何となく分かるけど、吹奏楽とブラスバンドって同じじゃないの?と思われる方もいるかもしれません。
今回は、オーケストラ・吹奏楽・ブラスバンドの違いについて説明していきます。
オーケストラ・吹奏楽・ブラスバンドの違い
それではまず、オーケストラ・吹奏楽・ブラスバンドの違いを表した一覧表を見てみましょう。
楽器構成 | 主旋律を主に担当する楽器 | |
オーケストラ | 弦楽器・木管楽器・金管楽器・打楽器 | ヴァイオリン |
吹奏楽 | 木管楽器・金管楽器・打楽器・コントラバス(1人~2人) | クラリネット |
ブラスバンド | 金管楽器・打楽器 | コルネット(トランペット) |
それぞれ構成される楽器に違いがありますが、その他に主旋律を担当する楽器も違いますね。
では、1つずつ見ていきましょう。
まずオーケストラからです。
多くの楽器で構成「オーケストラ」
オーケストラの編成は、主に弦楽器・木管楽器・金管楽器・打楽器。
前側に座っているのが弦楽器で、後ろ側に木管・金管・打楽器がいます。
オーケストラで使われる楽器の詳しい種類は次の通りです。
弦楽器 | ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス |
木管楽器 | ピッコロ、フルート、オーボエ、コーラングレ、Es菅クラリネット、C菅クラリネット、B菅クラリネット、A菅クラリネット、バスクラリネット、ファゴット、コントラファゴット |
金管楽器 | コルネット、トランペット、フレンチホルン、トロンボーン、チューバ |
打楽器 | ティンパニ、スネアドラム、バスドラム、トライアングル、シンバル、グロッケンシュピールなど。 |
この他に、ピアノやギター、ハープ、オルガン、サクソフォンなどが入る場合もありますね。
オーケストラと吹奏楽・ブラスバンドとの最も大きな違いは、多くの弦楽器があることです。
弦楽器が主導を握るオーケストラのサウンドは、いかにも「ザ・クラシック」という雰囲気がいっぱい。
弦楽器・管楽器・打楽器とさまざまなサウンドが重なり合って、彩り豊かなゴージャス感にあふれています。
次は吹奏楽を見ていきましょう。
管楽器のきらびやかな響き「吹奏楽」
吹奏楽の楽器配置は大体こんな感じになります。
この画像から分かるように、吹奏楽にはコントラバス以外は弦楽器がありません。
では吹奏楽で使われる楽器の種類を詳しく見てみましょう。
木管楽器 | フルート、ピッコロ、オーボエ、コーラングレ、Es菅クラリネット、B菅クラリネット、アルトクラリネット、バスクラリネット、コントラアルトクラリネット、ファゴット、ソプラノサクソフォン、アルトサクソフォン、テナーサクソフォン、バリトンサクソフォン、 |
金管楽器 | コルネット、トランペット、フリューゲルホルン、フレンチホルン、トロンボーン、バストロンボーン、ユーフォニアム、チューバ |
打楽器 | ティンパニ、スネアドラム、バスドラム、トライアングル、シンバル、グロッケンシュピールなど |
弦楽器 | コントラバス |
吹奏楽は管楽器が中心で、オーケストラに比べて使われる管楽器の種類も多くなります。
最初の一覧表で「吹奏楽の主旋律を主に担当するのはクラリネット」とありましたが、オーケストラに比べてクラリネットの種類も多いですね。
その中でも、主旋律を担当するのはB菅クラリネットで他の楽器よりも人数も多く、オーケストラのヴァイオリンのような役割であると言えます。
また、オーケストラと違ってコントラバス以外の弦楽器がないので、それが吹奏楽の特徴のように見えますが、それ以外にオーケストラやブラスバンドとの大きな違いがあるんです。
それはサクソフォンが使われること。
サクソフォンは木管楽器に分類され、吹奏楽では欠かせない楽器です。
オーケストラで用いられることもありますが、かなり限られた曲のみでオーケストラの通常の編成には含まれていませんし、ブラスバンドでは使われません。
吹奏楽にはヴァイオリンなどの多くの弦楽器は使われませんが、オーケストラよりも更に多くの管楽器が用いられ、サウンドもきらびやか。
また、ポップスなどの親しみやすい音楽の演奏もオーケストラより向いていますし、吹奏楽コンクールも全国で盛んに行われていますので、大衆になじみやすいといえるでしょう。
次に、ブラスバンドについて見ていきます。
金管楽器の多彩な響き「ブラスバンド」
ブラスバンドは別名「金管バンド」または「ラッパ隊」と言われます。
ではブラスバンドで使われる楽器を詳しく見ていきましょう。
金管楽器 | ソプラノコルネット、コルネット(トランペット)、フリューゲルホルン、アルトホルン、バリトン、トロンボーン、テナートロンボーン、バストロンボーン、ユーフォニアム、Es管チューバ、B管チューバ、 |
打楽器 | ティンパニ、スネアドラム、バスドラム、トライアングル、シンバル、グロッケンシュピールなど |
吹奏楽とブラスバンドは同じものだと思われがちですが、この画像や別名から見て分かるようにブラスバンドは金管楽器と打楽器のみで構成されています。
「ブラス(brass)」という言葉は、元々金管楽器の主な材料である金属の【黄銅(こうどう)】という意味を表しています。
こういう事からも、ブラスバンド(brass band)は金管楽器で構成された音楽団体であることが理解できるでしょう。
日本では、ブラスバンドというと吹奏楽と混同しがちですが、これはドイツ語のblas(吹く)という言葉から出来た「ブラスバンド(blas band)」という和製の言葉が理由になっているようですね。
欧米では吹奏楽を「ウィンドバンド」、金管バンドを「ブラスバンド」と言って区別することが多いですね。
また、ブラスバンドではオーケストラや吹奏楽であまり使われない金管楽器も用いられます。
その例をいくつかあげてみましょう。
- トランペットよりもコルネットが主に使われる(トランペットが使われる場合もアリ)。
- ホルンは、カタツムリ形のフレンチホルンではなく、アルトホルンという小型チューバのような形のものが使われる。
このような点もブラスバンドの特徴の1つと言えますね。
音楽団体名でも違いが分かる
オーケストラ、吹奏楽、ブラスバンドの違いについて色々説明してきましたが、難しく考えなくてもそれぞれの違いが分かるものがあります。
それが、音楽団体の名称です。
テレビや何かの動画などでふと見た演奏がオケなのか吹奏楽なのかブラバンなのかとっさに分からない場合、弦楽器や管楽器がどうだとか考えなくても、その演奏をしている音楽団体名を見れば分かります。
ではそれぞれの代表的な名称を見てみましょう。
オーケストラの場合。
- ○○交響楽団
- ○○管弦楽団
- ○○フィルハーモニー交響楽団または管弦楽団
- ○○フィルハーモニカ―
オーケストラの代表的な呼び方と言えば、「交響楽団」や「管弦楽団」が最も多いでしょう。
ここにあげたもの以外では、オーケストラ・アンサンブル○○とかシンフォニエッタ○○などと呼ばれる場合もあります。
次は吹奏楽の音楽団体の名称です。
吹奏楽の場合。
- ○○吹奏楽団
- ○○交響吹奏楽団
- ○○ウィンドオーケストラ
- ○○ウィンドアンサンブル
この他、吹奏楽団は各国の軍に音楽部署がある事も多く、○○軍楽隊・○○音楽隊などと呼ばれて演奏会も行っています。
では最後にブラスバンドの主な名称を見ていきましょう。
ブラスバンドの場合。
- ○○バンド
- ○○ブラスバンド
- ○○ブラス
ブラスバンドの場合は、大抵最後に「バンド」と付くことが多いですね。
または、「ブラス」とだけ付く場合もあります。
何かしら公で演奏している場合は団体名称が必ず明記されているので、どうしても分からない時に判断する参考にしてみましょう。
まとめ
今回は、オーケストラ・吹奏楽・ブラスバンドの違いについて見ていきました。
吹奏楽とブラスバンドの違いが分からない方もこれで理解できたことでしょう。
実は、私も学生時代は吹奏楽とブラスバンドの区別が出来ていませんでいた。
私は、中学・高校の頃は吹奏楽部に入っていましたが、吹奏楽部と言いながらブラスバンドという言葉も並行して使っていました。
日本では、吹奏楽とブラスバンドの名称が混同されがちですが、それもある意味1つの日本文化の表れであるとも言えます。
あなたは、オーケストラ、吹奏楽、ブラスバンドの中でどの音楽がお好きですか?
3つそれぞれ構成される楽器も違いますし、それに伴い音楽のサウンドも様々。
例えばクラリネットであればオーケストラと吹奏楽では役割が変わるので、それによって同じ楽器でも音楽の聴こえ方や音の印象も違ってきます。
これは、クラリネット以外の全ての楽器にも同じ事が言えます。
人によって好みがありますので、オーケストラが好きとか、吹奏楽の方が面白いとか、自分は金管を吹くからブラスバンドが好き、など色々あるでしょう。
しかし、時には普段聴かない音楽に触れてみることによって視野も広がりますし、新しい発見もあります。
オーケストラも吹奏楽もブラスバンドも、全てすばらしい音楽。
それぞれの個性の違いを感じつつ、楽しんで演奏・鑑賞したいですね。