金管楽器の中で1番メジャーで人気もあるトランペット。
私が吹いているクラリネットとは違い、見た目も華があって音もカッコいいし、上手に吹ければ間違いなくモテそうな楽器。(クラリネットをディスっている訳ではありません)
吹奏楽でも活躍しますし、オーケストラのトランペットだって超絶カッコイイです。
オーケストラがみんなでジャ~ンと音を響かせている中で、トランペット1本でプァーと音を出してもガッツリ存在感を示せるくらいトランペットの音は響きます。
トランペットは、オーケストラの中で間違いなく花形楽器の1つ。
ではトランペットのオーケストラでの役割は、音をプァ~とぶっ放すだけなのでしょうか?
いえ、表の華やかな役割の一方、裏方的な仕事もこなしていたり色んな顔を持っている楽器なのです。
今回はオーケストラのトランペットの役割についてまとめてみました。
オーケストラのトランペットの役割
金管楽器の中で1番高い音を出す、まるで太陽のような楽器トランペット。
トランペットのオーケストラの役割は主に次の3つです。
- オーケストラ全体に輝かしさ・華やかさを与える。
- 力強い音色でのアクセントやリズム演奏。
- トランペットらしい華やかさや、時にはやわらかい優しさのあるソロ演奏。
では1つずつ見ていきます。
オケの雰囲気をガラリと変える存在感
まず、オーケストラの中でトランペットの位置に水色の印を付けた画像を見てみましょう。
一般的にトランペットの位置は木管後列の後ろですが、曲によりまたは指揮者の指示により少し違う配置になることもあります。
その他、オーケストラの楽器配置について詳しく知りたい方はこちらを参考にして下さいね。
基本的にトランペットはクラリネットのすぐ後ろなので、私が普段座っている席にはトランペットの音がダイレクトに聴こえます。
時には耳が痛くなっちゃうくらいよく聴こえるんですよね。
その気になれば、楽器1本でオーケストラ全体の雰囲気をガラリと変えることさえ出来るトランペット。
それくらいオーケストラの中で存在感ナンバー1の楽器です。
華やかさでいえばバイオリンやフルートなども華やか系の楽器ですが、輝かしさではトランペットにかないません。
トランペット隊がプァ~~と吹けば、オーケストラの響きにドラマチックさや劇的な展開が一気に加わります。
楽器の音量ランキングの1,2位を争うほど音も大きくて音色もハデですから、オーケストラに与える影響はとても大きいのです。
そのせいかどうか、トランペットは弦楽器や木管楽器に比べるとお休みが多くて出番が少なめな場合が多いです。
もちろん活躍する曲もありますが、それでも弦楽器のようにほぼ休みなくずーっと演奏している事はありません。
ある曲の弦楽器の譜面が何十ページもあるのに対して、トランペットの譜面は数ページのみということもよくある話。
しばらく沈黙していてここぞ!という時に出て来るからこそ、トランペットの威力が発揮されるのでしょう。
アクセントやリズム演奏など裏方仕事も
トランペットの役割は、プァ~と気持ち良さそうに音量豊かに響かせているだけではありません。
こう見えて地味な裏方も頑張っているのです。
弦楽器や木管楽器が旋律を演奏している裏で、打楽器などと一緒にリズム演奏に徹していることも。
いつものハデさはどこに行ったの?みたいな感じで大人しくタッ、タッ、タッとか、ンタッ、ンタッ、ンタッなど表打ちや裏打ちリズムなどを地道に演奏するのです。
また、音楽全体にアクセントを付けたい所でもトランペットが活躍します。
トランペットの豊かな音量でリズム打ちやアクセントが加わると、音楽全体に安定感や色彩感が出るのです。
幅広い表現力のソロ演奏
オーケストラの管楽器は何かしらのソロ演奏を担当することが多いですが、トランペットももちろんソロ演奏をします。
メジャーな楽器なだけあって、誰でも知っているような有名なソロもけっこうありますよ。
例えば、ムソルグスキー作曲「展覧会の絵」のオーケストラ版は、トランペットのソロ演奏で曲が始まります。
あ、聴いたことある、というくらい有名なソロです。
展覧会の絵のトランペットソロはこちら。
また、マーラー作曲の交響曲第5番の冒頭のトランペットのソロも有名。
ものすごくドラマチックで、聴いていて身震いがしそうなほどです。
マーラーの交響曲第5番のトランペットソロはこちら。
トランペットのソロは曲の重要なシーンで演奏されることも多いので、オーケストラの演奏に大きなインパクトを与えます。
また、輝かしい目が覚めるようなソロを演奏する一方、穏やかな雰囲気のソロを演奏することも。
例えば、ルロイアンダーソンの「トランペット吹きの子守歌」の演奏もとっても有名です。
トランペット吹きの子守歌はこちら。
華やかさと穏やかさをミックスしたようなトランペットのソロがとても心地よい曲です。
楽しいトランペットの仲間たち
トランペットには一般的に良く知られたもののほかに、オーケストラでは同類の少し違う楽器も使われることがあります。
その代表的なものが、ロータリー型のトランペット・ピッコロトランペット・コルネット・フリューゲルホルンです。
それでは1つずつ見ていきます。
俗称ドイツ管:ロータリートランペット
引用元:https://00m.in/sjJzi
引用元:https://00m.in/sjJzi
上の画像は、左がピストントランペット、右側がロータリートランペットです。
一般的なトランペットはピストントランペットですが、これとは別にロータリートランペットというものがあります。
楽器の形も少し違いますが音が出る構造も少し異なり、その影響で音色も少し違います。
楽器の形が少し違うから、構え方も少し違いがありますね。
音域はほぼ同じですが、ピストン型の輝かしく華々しい音に比べると、ロータリー型は少し柔らかく丸みの音が出るため、周りの楽器と音が調和しやすいんです。
一般的にドイツ・ウィーンものと言われる、古典派のドイツやオーストリアの作曲家の音楽や、ロマン派のドイツ音楽などを演奏する場合はロータリートランペットが向いていると言われます。
基本的にはピストントランペットが使われることが多いですが、奏者の好みや状況に応じて、ピストン型とロータリー型を使い分けて演奏します。
高音担当のピッコロトランペット
ピッコロトランペットは、管の長さが普通のトランペットの半分で1オクターブ高い音が出ます。
また、普通のトランペットはピストンが3つですが、ピッコロトランペットは4つあるのが一般的です。
元々は19世紀末頃にバロック時代の曲を演奏するために作られた楽器ですが、現在では近・現代の曲によく使われます。
この楽器を使う場合、通常は楽譜に指示が書いてありますが、高音域が多く出てくる曲の場合は、譜面に指示がなくても演奏者の判断でこの楽器を使用することもあります。
まろやかな音コルネット
コルネットは吹奏楽やブラスバンドで主に使われる楽器ですが、オーケストラ曲の編成にコルネットがある場合はトランペット奏者がコルネットに持ち替えて演奏します。
音域はトランペットとほぼ同じですが、音がまろやかで柔らかいのがコルネットの特徴。
管の全長はトランペットとあまり変わりませんが、トランペットよりもより多く管を巻いた状態で作られているので、一見すると少しコンパクト。
また、トランペットよりも操作しやすく、楽器構造上速いパッセージを吹きやすく出来ています。
豊かな音フリューゲルホルン
コルネットよりも、さらに柔らかく太く豊かな音を響かせるフリューゲルホルン。
大きさはトランペットより一回りほど大きく音域は普通のトランペットとほぼ同じですが、菅の形状が少し異なります。
トランペットやコルネットの菅は「円筒管」という形ですが、フリューゲルホルンは「円錐管」になっているので、音の柔らかさ・暖かさがより深まります。
フリューゲルホルンは本来ブラスバンドやジャズでよく用いられ、オーケストラで使われることは少ないですが、マーラーやヴォーン・ウィリアムズ、レスピーギ等の曲で使われます。
リズム隊から旋律演奏へ変化した役割
トランペットの役割は時代によって役割に変化が見られます。
現代では華々しく演奏しているトランペットですが、古典派辺りの古い時代のトランペットは「打楽器的な役割」が主でした。
当時のトランペットは現代のものとは構造が違い出せる音も限られたため、自在に演奏する事が出来ない楽器でした。
つまり、ソロや旋律を自在に演奏することが難しかったんですね。
ですから、他の打楽器と一緒に限られた音でリズムを刻み、旋律楽器の演奏を支えることがトランペットの役割でした。
時代が進むにつれて楽器構造に改良が加わり、ロマン派以降になると単純なリズム刻みだけでなく有名なソロや旋律を演奏する事が増えました。
まとめ
今回はオーケストラのトランペットの役割について書いてみました。
私がオーケストラで普段座っているすぐ後ろにトランペットがいることが多いのですが、頭のすぐ後ろでプァ~と音が鳴ると音量の大きさに改めて驚くこともたびたび。
オーケストラ曲ではどちらかというとお休みが多く、ずーっと沈黙していたのが急にパーッと吹き放つ事も多いのでびっくり感倍増です。
間近で聴くトランペットの音の迫力はハンパではありません。
オケ全員で大音量で音を出している時に1番目立つのはトランペットですから、私の楽器などはちょっと音量を押さえて体力を温存させて頂いたりします。
こんなことが出来るのもトランペットさんのおかげ。
今度オーケストラの演奏を聴く機会がありましたら、トランペットの幅広い役割に耳を傾けてみて下さいね。