毎年なんとなくワクワクするクリスマス。
年末・新年も近いし、おごそかな気持ちとフレッシュな気持ちが混じり合ったような、この時期でしか味わえない特別なワクワク感があります。
クリスマスの過ごし方は人それぞれ。
リッチなレストランでお食事する人もいれば、ファストフード店で食べる人もいるでしょうし、家でいつも通りの食事をとる人、忙しくて食事抜きの人もいるかも知れませんね。
また、家族・友達・仕事関係の人・彼氏彼女・1人など、だれと過ごすかも十人十色です。
クリスマスに聴く曲も人それぞれでしょうが、クラシックを聴きながら過ごすというのもおしゃれ。
家でフライドチキンを爆食いしながら、あるいは飲み屋で焼き鳥片手にチューハイを飲みながらクラシックを聴く、なんてのもこじゃれてます。
という訳で、クリスマスにぴったりなクラシックを24曲選んでみました。
クリスマス定番のものから私のセンスで選んだ曲までいろいろですが、ぜひ参考にしてみて下さいね。
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では、クリスマスに聴きたいクラシックを24曲ご紹介していきます。
おなじみの定番曲、クリスマスを題材にした曲、「冬」をテーマにした曲、私の独断と偏見で選んだクリスマス曲の4つの項目に分けてご紹介しますね。
定番のクリスマス・キャロル7曲
クリスマスのクラシック定番といえば、やっぱりクリスマス・キャロルですよね。
キャロルとは元々は踊りの民謡のことを表していましたが、現在では一般的に讃美歌のことを指すので、クリスマス・キャロルとは「クリスマスの讃美歌」。
最近では、キャロルといえばクリスマス・キャロルそのものを表すことも多いです。
クリスマスは本来イエス・キリスト生誕のお祝いをするためのものですし、クリスマス・キャロルを聴いて正統派的にクリスマスを楽しむのもいいもんです。
クラシック音楽の起源は、キリスト教の聖歌であるグレゴリオ聖歌。
元々神さまを讃える歌を歌うということからクラシック音楽が始まっているので、やっぱりクリスマス・キャロルってクリスマスにおすすめのクラシックとして外せないと思います。
「讃美歌」と「聖歌」の違いは、讃美歌=プロテスタントで使われる表現、聖歌=カトリックで使われる表現、なのでどちらも意味合いは同じです。
だれでも知っているような有名なクリスマス・キャロルを選んでみました。
クリスチャンでなくても構いませんので、神さまをしんみり感じながら聴いて下さい。
きよしこの夜
最も有名なクリスマス・キャロルの1つである「きよしこの夜」。
この曲を作曲したのは、ドイツの音楽教師兼オルガン奏者であるフランツ・クサーヴァー・グルーバー。
1818年12月24日、オーストリアの聖ニコラウス教会で初演されました。
キャンドルを持って目をつぶり、静かに今年の反省をしたくなるようなおごそかさいっぱいですね。
今年1年の煩悩も全て浄化されて許して頂けるような雰囲気の曲です。
もろびとこぞりて
この曲を作ったのは、アメリカの音楽家ローウェル・メイスン。
ヘンデルのオラトリオ「メサイア」の一部をアレンジしたと言われていますが、現在ではほぼメイスンのオリジナル曲とされているようです。
この曲もクリスマス定番のキャロルですね。
作曲者のローウェル・メースンは、アメリカの讃美歌の父と言われアメリカの賛美歌の基礎を築いた人物で、日本の讃美歌界にも大きな影響を与えました。
もみの木
これはドイツ発祥のクリスマス・キャロルです。
元々ドイツに古くから伝わる民謡に恋の歌詞が付いた歌があり、これに宗教的な歌詞をつけて讃美歌にしたのがドイツの音楽家・詩人のエルンスト・アンシュッツです。
またクリスマスの木といえばもみの木ですが、なぜもみの木がクリスマスツリーなんでしょうか?
常緑樹であるもみの木は、空に向かって真っすぐ育ち1年中鮮やかな葉を茂らせ、「永遠の命の象徴」とされていました。
こういったことから、キリスト教圏では常緑樹を神聖な木として魔除けの意味を込めて飾る習慣があったようです。
また世界最古のクリスマスツリーの記録がこちら。↓
現在では作り物のクリスマスツリーもたくさんありますが、本物のもみの木に飾り付けしてみるとクリスマス感が増しそうですね。
ディンドン空高く
この曲は元々16世紀ころのフランスの舞曲でした。
1924年にイギリスの作曲家ジョージ・ラトクリフ・ウッドワードがこの曲に歌詞を付けて発表したのが、この「ディンドン空高く(Ding Dong! Merrily On High)」です。
軽やかさと明るさが伝わってくる楽しい雰囲気のクリスマス・キャロル。
イギリスのケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団がこの曲を得意としていることでも知られています。
おめでとうクリスマス
この曲は、16世紀頃のイングランド西部の民謡をもとに作られたクリスマス・キャロルのようです。
全体的に明るい曲調で、これもかなりメジャーなクリスマス・キャロルですね。
これはこのキャロルの歌詞の一部ですが、クリスマスだけでなく新年のお祝いも含んだ内容で、それがますますおめでたい感じを出してますね。
神の御子は今宵しも
次のクリスマス・キャロルは、神の御子は今宵しも(かみのみこはこよいしも)。
この曲の作曲者はイギリスの作曲家ジョン・フランシス・ウェードと言われていますが、はっきりとは分かっておらず、歌詞もだれによって書かれたか不明です。
ですが聴いたことがあるという方は多いでしょうし、定番の有名なクリスマス・キャロルの1つでもあります。
オリジナルの歌詞はラテン語ですが、イングランドカトリック教会の聖職者フレデリック・オークリーが英語に訳した歌詞が広く知られています。
ひいらぎかざろう
この曲はウェールズ地方に伝わる民謡が原曲で、スコットランドの音楽家トーマス・オリファントが歌詞を付けてクリスマス・キャロルとして知られるようになりました。
このクリスマス・キャロルもよく耳にする1曲で、軽快で親しみやすい曲調です。
この曲の原題は「Deck the hall with boughs of holly」といい、boughs of hollyはセイヨウヒイラギの枝を表しています。
セイヨウヒイラギは、神聖な植物として当時ケルト人の間で崇拝されていました。
クリスマスをテーマにした曲や教会音楽9曲
クリスマス・キャロルとは別に、クリスマスそのものをテーマにしたものや、聖書やキリスト教を題材にしたクラシック音楽もいろいろあります。
次に、聴いていて楽しくなるワクワク感いっぱいのものから、厳かなバロック音楽やピアノ曲まで広い範囲に渡ってご紹介しますね。
チャイコフスキー:くるみ割り人形
クリスマスのクラシックといえば、この曲を思い出す人も多いでしょう。
これはチャイコフスキーが作曲した、クリスマス・イヴの晩が舞台となっているバレエ音楽です。
クリスマス・イヴの晩に主人公クララの家でパーティがひらかれて、ソファで眠ったクララがお菓子の国に行って楽しく過ごす夢をみる、というお話です。
(クララの名前は、マリーまたはマーシャと表す場合もあります。)
ここにアップした音楽は最初の序曲と第2幕のお菓子の国の音楽で構成された組曲ですが、第1幕の音楽もステキですよ。
コレッリ:クリスマス協奏曲
イタリアの作曲家であるアルカンジェロ・コレッリ作曲の「クリスマス協奏曲」。
これもクリスマスお馴染みのクラシック曲の1つです。
この曲は、コレッリの支援者の1人であるピエトロ・オットボーニ枢機卿の依頼により作られました。
この曲に「クリスマスの夜のために作曲」という言葉が添えられていたことから、この曲名で知られるようになりました。
J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオより第10曲
J.S.バッハが1734年に作曲したクリスマス・オラトリオは、クリスマスシーズンになるとあちこちで演奏されます。
このオラトリオは全64曲から構成され演奏時間は約2時間30分ですが、その中でもよく親しまれているのが上の音源である第10曲目の「シンフォニア」。
心が洗われるような美しい曲です。
シャルパンティエ:器楽のためのノエル
次の曲は「器楽のためのノエルH.534 」。
ノエルとはフランス語でクリスマスを指します。
この曲はフランスバロック音楽の作曲家マルク=アントワーヌ・シャルパンティエによって作曲されました。
彼は経歴の詳細などがあまり分かっていませんが、宗教音楽を高く評価されている作曲家です。
この「器楽のためのノエル」は、キラキラした華やかな感じとは少し違いますが、全体的に素朴で親しみやすい音楽ですよ。
ド・ラランド:クリスマス交響曲
この曲は、フランスのバロック作曲家であるミシェル=リシャール・ド・ラランドが書いた「王宮の食卓のためのサンフォニー」という5時間近くかかる長~い曲の中の1部です。
ド・ラランドは、太陽王といわれたルイ14世の頃のフランス宮廷音楽家として活躍した人物です。
3部で構成された明るい楽し気な曲で、曲中にフランスに古くから伝わるクリスマスキャロルが組み込まれていることからこの曲名がついたと言われています。
チャイコフスキー:12月クリスマス
これは、チャイコフスキーのピアノ曲集「四季」の中の「12月クリスマス」という曲です。
「四季」というタイトル通り、このピアノ曲集は季節に沿って1月から12月までを1曲ごとに表したもので、全部で12曲あります。
この12月クリスマスはこの曲集の最後の曲で、ロシアの詩人ヴァシーリー・ジュコーフスキーの詩を題材に作曲されました。
ちょっとショパン風なピアノ曲で、私は大好きです。
アヴェ・ヴェルム・コルプス
「アヴェ・ヴェルム・コルプス」とは聖体讃美歌のことを指します。
聖体とはキリストの体の一部として信じられている特別に用意されたパンのことで、このパンとぶどう酒(キリストの血液とされる)を頂くという儀式で歌われる曲を聖体讃美歌といいます。
アヴェ・ヴェルム・コルプスとして有名な曲は、モーツァルトやウィリアム・バード、フォーレ作曲によるものが有名ですが、特によく知られているのはモーツァルトのものでしょうか。
3曲聴き比べてみるのもおもしろいですよ。
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
この曲は、J.Sバッハが1723年に作曲した【教会カンタータ「心と口と行いと生活で」BWV147】の中の1曲である「イエスは変わらざるわが喜び」(Jesus bleibet meine Freude)です。
このカンタータは全10曲から構成され、この曲は最後の10番目の曲で「主よ、人の望みの喜びよ」の名前で知られています。
やっぱり神さまを讃える曲は心が洗われる気がしますね。
不平不満は程々にしとこうかなとか、少しはいいことしようかなとか、日頃の行いを反省するような気持になります。
全10曲を聴く場合は30分ほどで聴くことができますよ。
ヘンデル:メサイア
次はヘンデル作曲の「ハレルヤ」です。
これは1741年に作曲されたオラトリオで、ハレルヤは第2部の最終曲になります。
イエス・キリストの生涯を題材にした曲で、歌詞は英語。
ハレルヤとは、ヘブライ語で「賛美」とか「讃える」といった意味です。
全曲は2時間半ほどですが、ご興味のある方はこちらをどうぞ。
「冬」を連想させる4曲
次に、クリスマスというテーマではないけれど「冬」を感じさせる曲で、クリスマスの時期によく聴かれるものや「冬」のイメージにピッタリのものをご紹介します。
アンダーソン:そりすべり
クリスマスと言えばコレ!というくらいお馴染みの、ルロイ・アンダーソン作曲「そりすべり」。
この曲は元々クリスマスのために作られた曲ではなく、書かれたのも7月という夏の季節だそう。
でもクリスマスのワクワク感を誘う要素がいっぱい込められています。
スレイベル(別名ジングルベル)という鈴の音が最初から最後までめいいっぱい使われ、トナカイに引かれたそりに乗っているサンタがやって来るようなクリスマス感満載の曲。
また、ウッドブロックやむちなど多彩な打楽器がこの曲のワクワク感をさらに盛り上げます。
ワルトトイフェル:スケートをする人々
次は、フランスのワルツ王と言われたエミール・ワルトトイフェル作曲の「スケートをする人々」。
別名「スケーターズ・ワルツ」。
この曲もクリスマスによく耳にする音楽ですね。
パリのブローニュの森にあったスケート場をヒントにこの曲が作曲されたんだそうです。
スケートでスイ~と滑りながら、優雅に踊っているような風景が目に浮かぶ音楽です。
ディーリアス:冬の夜(そりすべり)
次はイギリスの作曲家であるフレデリック・ディーリアスによって作られた、管弦楽曲「3つの小さな音詩」より第2番「冬の夜(そりすべり)」のご紹介。
この「3つの小さな音詩」は3曲から構成され、1番目は「夏の夕べ」、3番目は「春の朝」となっています。
冒頭でスレイベルがシャンシャン鳴って、ピッコロの軽やかなソロで始まるかわいい曲です。
ディーリアスは私が個人的に大好きな作曲家の1人で、中間部はディーリアスらしいきれいなサウンドもいっぱい楽しめます。
シベリウス:樅ノ木(もみのき)
これはシベリウスが1914年に作曲した5つの小品「樹木の組曲」の中の1曲。
このピアノ小品集は全5曲から構成され、それぞれの曲名に木の名前がついています。
クリスマスツリーといえばもみの木ですよね、と先ほど言いましたが、実はこれは世界共通ではなく、極寒の地域ではトウヒという常緑樹がクリスマスツリーに使われるんだとか。
ですが、日本のクリスマスツリーはもみの木というイメージですから、そこはちょっと置いといて。
冬の寒さと天に向かってまっすぐ伸びるもみの木の様子が感じられるような、少し哀愁感のある曲です。
クリスマスの楽し気な様子の曲とは少し違いますが、しっとりしたちょっと大人の気分でクリスマスを感じてみるのもよさそう。
ちなみにこの曲のピアノ伴奏つきのチェロ版もとってもおすすめです。
私の好みで選んだおまけ4曲
最後に、クリスマスという訳でもないし「冬」も関係ないけど、私が勝手にクリスマスによさそうと思っている曲を並べてみました。
私のセンスが疑われそうで恥ずかしいですがご紹介しますね。
フォスター:ケンタッキーの我が家
フォスター作曲の「ケンタッキーの我が家」。
某チェーン店のCMソングとして有名ですね。
この曲がクリスマスっぽいと感じるのは日本人だけなんじゃないかと思っていたら、クリスマス合唱曲として歌われることもある、ということもチラッと聞きました。
ということは、そんなにクリスマスの曲として大ハズレということはないのかもしれません。
クリスマスといえば、やっぱりフライドチキンを思い浮かべちゃうんですよね(クリスマスはフライドチキンじゃなくてローストチキンだ、という方もいらっしゃるかもしれませんが)。
鶏肉=クリスマスという思考回路から選んでみました。
フォーレ:ドリー
この曲はフランスの作曲家ガブリエル・フォーレが作った6曲から成るピアノ連弾組曲です。
フォーレの友人に娘が生まれたお祝いとして作られた曲で、クリスマスとは全く関係ありません。
なぜこれがクリスマスらしく感じるのか自分でもよく分かりませんが、全体的にかわいらしくて何となく平和で楽しいクリスマスの日みたいな気がする、というのが私の感想です。
この曲は色んなアレンジ版があり、以前室内楽コンサートで私がこの曲をクリスマスの時期に演奏したことがあるので、その影響かも。
アンダーソン:タイプライター
この曲は「そりすべり」を作曲したルロイ・アンダーソンの曲で、タイプライターをカチャカチャ打つ奏者がいるというおもしろい曲。
このタイプライターは通常打楽器奏者が演奏します。
楽しそうにタイプライターを打っているように見えるかも知れませんが、コレ結構難しいらしいです。
以前この曲をやった時、タイプライター担当の打楽器の人が「難しいんだよー」と言っていました。
この曲もクリスマスとは関係ありませんが、「そりすべり」を作ったアンダーソンの曲だから私がクリスマスっぽく感じるのかもしれません。
あるいは、以前演奏した時期がクリスマスの時期だったから余計にそう思うのかも。
アンダーソン:シンコペイテッド・クロック
またアンダーソンですかと言われそうなんですが、すみません、またアンダーソンです。
この曲はアメリカのあるテレビ番組のテーマソングとして作られた曲で、クリスマスとは関係ありません。
ウッドブロックの音とストリングスの響きが何とな~くおとぎ話というか絵本チックというか、私的にクリスマス感がするんです。
でもおそらくこれも、私がクリスマスの時期にこの曲を演奏したことが関係ありそうです。
以前クリスマスの時期にアンダーソンの曲を数曲やったんですよね。
たぶんそのせいです。
まとめ
今回は、クリスマス定番のクラシックから、私の感性で選んだクリスマスに合いそうなクラシック曲までご紹介しました。
やっぱりクラシックってクリスマスとは切り離せない音楽だと思います。
クラシック音楽は元々イエス・キリストを讃える歌を歌うことから始まったもので、クリスマスはキリストの降誕(誕生したこと)を記念するイベントです(クリスマスがキリストの誕生日というわけではなく、実際の誕生日は不明と言われています)。
キリストの存在を祝福するといった内容の歌詞の歌も多いですし、基本的に世の中の泰平とか壮大な平和感が感じられるような音楽が多いです。
また、おごそかな教会音楽とは別に、くるみ割り人形のような楽しい曲や、その他冬シーズンを純粋に感じたりするようなクラシックもまたクリスマス向けの曲といえます。
でもあまり難しいことは考えず、あなたがクリスマスに聴きたい思った曲を聴くのが1番です。
普段の生活の中で、ストレスを感じたりつまらない考えに捉われたりすることもあるかもしれませんが、クリスマスの時期はクラシックでも聴いて穏やかな気持ちになってみてください。
あなたのクリスマスがより豊かなものとなりますように。
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