オーケストラで1番目立つ花形の楽器といえばやっぱりバイオリン。
楽器の形もカッコよくて構え方もサマになるし音も上品、演奏していると誰でもイケメン・美女に見えてしまう?とっても魅力的な楽器です。
オーケストラの前面でバイオリン奏者たちが一斉に弾いている姿は、やっぱりカッコいいし目を引きます。
弓の動きも全員一緒という一糸乱れぬ様子がいっそう荘厳な感じを与えますね。
パッと見た感じ、バイオリンはオーケストラという大きな団体を率いていく役割を担ったパートであることは誰もが思うところでしょう。
全員一緒に同じ演奏していると思われがちなバイオリンですが、実はそれぞれパートごとに役割があるんです。
今回は、オーケストラのバイオリンの役割について詳しく見ていきましょう。
オーケストラのバイオリンの役割
オーケストラのバイオリンと一口に言っても、具体的には次の2つのパートから構成されています。
- 第1バイオリン(1st.Vn)
- 第2バイオリン(2nd.Vn)
どちらも同じバイオリンですがそれぞれ役割が違いますので説明していきますね。
主に主旋律担当「第1バイオリン」
バイオリンはとても音域の広い楽器です。
その高音部を担当し、オーケストラ曲の1番中心になるメロディー(主旋律)を演奏するのが第1バイオリンの役割。
オーケストラの先頭に立って気持ちよさそうに優雅に演奏している姿は、華やかでまさにオーケストラの「花」。
オーケストラの後ろの方で「プピー」と音を鳴らしているクラリネット吹きの私から見れば、バイオリンは憧れの存在です。
もちろん、主旋律だけでなく拍打ちや副旋律を弾いたりお休みする小節もありますが、大抵は主旋律を弾きっぱなし。
オーケストラの中心とも言える第1バイオリンは、まるで女王様のような存在なんです。
一方、第2バイオリンはどういうものなんでしょうか?
次に第2バイオリンの役割を見ていきましょう。
主に内声部担当「第2バイオリン」
もう1つのバイオリンパートである「第2バイオリン」。
同じバイオリンでも、こちらの方はちょっと違います。
第1バイオリンと一緒に主旋律を弾くこともありますが、第2バイオリンの主な役割は「内声部」。
例えば「ド・ミ・ソ・ド」という和音があったとすると、この中の青色「ソ」の辺りの音の部分を担当するのが第2バイオリン。
簡単に言えば、和音の最も高い音・低い音のどちらでもない中の部分が内声部です。
ちなみにピンクの「ド」の所が第1バイオリンにあたります。
高い音でカッコよく主旋律を奏でるパートも大切ですが、音楽はこの内声部がとっても大事。
その他、第1バイオリンの主旋律に対して副旋律を弾いたり、リズム打ちしたり、第1バイオリンの主旋律の丁度オクターブ下で同じ旋律を弾いたりなど、とっても多くの役割があるのです。
一見すると第1バイオリンに比べて地味な印象の第2バイオリン。
でも美しい音楽を響かせるために、音程・音量など絶妙な調整をしながら演奏することが要求される第2バイオリンの役割はかなり重要なんです。
丁度良いバランスで主旋律その他のパートに美しく寄り添いながら演奏するという、第1バイオリンとはまた違った難しさがあります。
次に、バイオリンのリーダーあるいはオーケストラ団員の代表とも言える、コンサートマスターについて見ていきましょう。
コンサートマスターについて
オーケストラには必ずコンサートマスター(略してコンマス)、あるいはコンサートミストレス(略してコンミス)という、オーケストラ団員のリーダーのような立場の人がいます。
そして、このコンサートマスター(以下コンマス)は第1バイオリンのパートに属し、客席から見て指揮者のすぐ左橫の位置に座っています。
コンマスの役割はズバリ「第2の指揮者」。
コンマスは指揮者の音楽の表現を汲み取り、それをオーケストラ全体に伝えるという大事な仕事があります。
指揮者の合図だけでは伝わりにくいような細かい部分を、コンマスが自分の演奏でもってオーケストラの団員に伝えます。
どういう風にするかというと、曲の出だしや音を切る合図、テンポの動きなどを、コンマスの弓や演奏している様子を見てオーケストラ団員が合わせるんです。
また、演奏会の時には曲を演奏する前にチューニングという音合わせをしますが、その際にもコンマスには重要な役割があります。
まずオーボエという楽器がラの音(A)を吹き、コンマスは立ち上がってそれを聴き音程合わせをします。
音程が合ったらオーボエは吹くのをやめて、コンマスは自分の楽器でラの音を大きく鳴らして弦楽器全員はそれを聴いて自分の楽器の音程を合わせます。
まだ曲の演奏も始まっていない段階ですが、すでにこの時点でコンマスはカッコよく見えます。
その他、楽譜に書かれていない弦楽器のボウイング(弓の動き)を決めるのもコンマス。
さらに、曲にバイオリン独奏の部分があればそれを演奏する務めもあるので、コンマスは一般のバイオリン団員より技術的に優れた人でもあります。
コンマスの役割はかなり重要。オーケストラの中で一目置かれているような存在ですね。
ところで、オーケストラのバイオリンの位置をちょっと確認しておきましょうか。
大体分かるとは思いますが、コンマスの位置も含めて見てみましょう。
コンマスを含めた第1バイオリンがお客さん側に近い席、第2バイオリンが奥側になります。
コンマスは指揮者のすぐ横のピンクの印の位置。
バイオリンがオーケストラの前側にいる、ということは何となく知っていても、第1バイオリン・第2バイオリン・コンマスの正しい配置を始めて知った方もいるかもしれませんね。
オーケストラの詳しい楽器配置を知りたい方はこちらをどうぞ。
これまで、オーケストラにおけるバイオリンの役割について説明してきましたが、そもそもオーケストラのバイオリンはなぜ人数が多いのでしょうか?
次に、オーケストラのバイオリンの人数について見ていきます。
バイオリンの人数が多いワケ
オーケストラの各管楽器は1名か多くても4人くらいが通常ですが、バイオリンは小さいオーケストラ編成の場合でも第1バイオリンは8人程、第2バイオリンは6人程で合計14人くらいになります。
大きい編成のときは40人程になることも。
まるで、舞台でバイオリンのおしくらまんじゅうをしているようですね。
なぜバイオリンだけこんなに人数が多いのでしょう。
第1バイオリンは、オーケストラ曲で主旋律を演奏するという役割があると先程お話しましたね。
第2バイオリンは内声部担当が多いですが、ここぞという時には第1バイオリンと一緒に主旋律を奏でたり、主旋律に対して重要な副旋律を弾くことも多いです。
旋律は曲の要なので、しっかりと響かせる必要がありますね。
しかし、オーケストラには旋律以外のパートを演奏をする他の楽器がたくさんあります。
それらの楽器の音量に対して音楽をバランスよく響かせるためにはそれなりの人数が必要になるため、バイオリンの人数は他の楽器より多くなっているんです。
それに、バイオリンの音は単体だと他の管楽器に比べて少し音量が控えめなので、なおさら人数が必要になるというわけです。
まとめ
今回は、オーケストラのバイオリンの役割についてご紹介しました。
私はクラリネットを吹いていますが、クラリネットとバイオリンではオーケストラの役割は全く違います。
クラリネットはバイオリンに比べて曲中お休みも多いので、自分がお休みで余裕がある時はバイオリンの方々を「カッコイイな」と眺めたりしています。
こんな事をしているのは私だけかもしれませんが、やっぱりオーケストラを引っ張っていく役割を担うバイオリンはステキ。
凛として何となく誇り高そうに見えます。
また、管楽器は1人で1パートを演奏しますがバイオリンは第1・第2バイオリンとも複数人で演奏するので、その様子には美しい統一感が感じられます。
それが一層オーケストラのバイオリンを華やかに見せているのでしょう。
今度オーケストラを目にする機会があったら、ぜひバイオリンの役割を思い出しながら演奏を聴いてみてくださいね。