フルートは非常に人気の高い楽器で、男性・女性問わず憧れる人が多いです。
オーケストラでも花形的な役割を果たす楽器の1つであり、オーケストラでのフルートのソロパートは一際輝いています。
高音域でピィーと鳴り響く音色は目立ちますし、楽器を構えるその姿はまるで天使か妖精のよう。
こんなに優雅な雰囲気の楽器がほかにあるでしょうか。
フルートを吹いている人の頭に、天使の輪か花の冠が乗っているように見えてしまうのは私だけではないはず。
ふわふわとした優雅なイメージが強い分、力強い演奏は出来なさそうな楽器というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
やさしいそよ風だけでなく嵐を巻き起こすような力強さもあり、時には革命を率いるリーダーのようにオーケストラを従えてしまう存在感さえも感じさせます。
カッコいいチャキチャキな旋律でも優雅で美しい旋律でも、どちらもバッチリ似合ってしまう楽器フルート。
今回は、オーケストラのフルートの役割についてご紹介しますね。
オーケストラのフルートの役割
華麗で優雅なイメージが強いフルートのオーケストラでの役割は主に次の3つです。
- 木管楽器の高音部を担当。
- 木管の花形的ソロ。
- 木管楽器の中心&リーダー。
1つずつ見ていきましょう。
管楽器の中で1番音の高い楽器
まず、オーケストラの中でフルートが座っている位置を確認してみましょう。
下の画像の水色で囲ってあるところがフルートの位置です。
オーケストラの管楽器が座っている位置は、あまり詳しくない方だと「あれ、どこだっけ?」とついつい探しちゃったりしますよね。
オーケストラの楽器の配置について詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。
オーケストラの楽器の中で1番高い音が出るのはバイオリンですが、フルートは木管楽器の中で最も高い音が出ます。
でも低音域は他の楽器に比べてあまり出ません。
なので、木管楽器の高音部を担当します。
オーケストラの響きの中にフルートの高音がピュ~と聞こえるととても華やかですよ。
木管楽器の花形的ソロを担当
弦楽器と違いソロの役割が多い管楽器。
ソロとは1人で演奏することです。
大抵はオケ団員みんなでジャ~ンと音を鳴らしていますが、時々みんなとは違う旋律を1人だけで演奏しなければならない時があります。
それがソロです。
しかもこのソロ、すっごく目立つので、演奏する人は気絶するほど緊張します。
このソロが最も多い楽器の1つであるフルートは、まさに管楽器のプリンス・プリンセス的な存在。
フルートの華やかで夢見るような上品さにあふれたソロはほかの楽器では出せません。
フルートが優雅な音色でヒュ~と吹くと、大勢いるオーケストラの中でフルートの席がピカーッと光って見えるのは、きっと私だけではないはず。
でもフルートはただ優し気にヒュル~と演奏しているだけではありません。
オーケストラがジャ~ンと響いている時に、フルートが力強くピューッと吹くことにより、きりっとした輪郭が出てサウンドに豊かさを与える役割もあります。
天使のような優しさ・力強さを合わせ持ったのがフルートなんです。
木管楽器のリーダー的存在
フルート以外の木管楽器はフルートの横・後ろ側に位置していて、フルートは木管楽器の中心&リーダー的な役割もはたします。
音の高い楽器であるがゆえにサウンドの高音部を担当するので、その響きを引っ張っていくような立場でもあるんですよね。
ソロも多いですし、木管旋律のとっかかりがフルートである事も多いので、後列の木管楽器はフルートに付き従っていくみたいな気持ちです。
私が思うに、性格的にもどちらかというとリーダっぽい方が多い印象です。
楽しいフルートの仲間たち
オーケストラで使われるフルートには、一般的に良く知られたフルートだけでなく、その仲間である別の楽器も使われます。
それがピッコロとアルトフルートです。
これらの楽器は普段フルートを吹いている人が、その時だけピッコロやアルトフルートに楽器を持ち替えて演奏します。
次に、ピッコロとアルトフルートのオーケストラでの役割を見ていきましょう。
ミニフルートみたいなピッコロ
ピッコロはフルートより1オクターブ高い音が出る超高音楽器で、キーンという鋭い音質が特徴です。
一般的なフルートの長さは約65㎝ほどですが、ピッコロの長さは約30㎝。
オーケストラ全員でジャーンと音を出していても、ピッコロの音が聴こえちゃうくらい音が目立ちます。
通常は、フルートの2番奏者や3番奏者がピッコロを担当しますが、曲によっては持ち替えずにピッコロのみを専門で担当する場合もあります。
とても個性的で音に強さがあるので、全てのオーケストラ曲にピッコロが使われるわけではありませんが、ここぞという効果を出す時に使われます。
少し大きくて音が低めのアルトフルート
アルトフルートはピッコロよりも使われる頻度は低く、比較的新しい時代に作られたオーケストラ曲に登場します。
長さが約90㎝・重さは普通のフルートの約2倍もあり、菅が普通のフルートより太いので演奏するためにたくさんの息を使います。
音はフルートより低く、少し落ち着いたやわらかめの音質で、普通のフルートとはまた違った色彩感をオーケストラに与えてくれます。
形が普通のフルートと同じようなものとU字型のものと2通りありますが、どちらも同じアルトフルートですよ。
まとめ
今回は、オーケストラのフルートの役割についてまとめてみました。
私は普段オーケストラでクラリネットを吹いていますが、クラリネットのちょうど前に座っているのがフルート。
フルートとクラリネットの音の出だしが同じ所や、同じ旋律をオクターブ違いで一緒に吹くところなど、いつもフルートの方の背中などを見てタイミングを合わせるようにしています。
そうやって上手くアンサンブル出来ている時は充実感でいっぱいになります。
木管楽器あるいは管楽器全体の先導を切る役割がフルートの場合が多いので、フルート以外の管楽器から見るとフルートはまるでご主人様みたい。
なんとなく、王子様・王女様っぽい感じがして王冠が似合うような雰囲気のフルート。
今度オーケストラの曲に触れる事があれば、おしとやかさ・タフさどちらも兼ね備えた役割を持つフルートの演奏を楽しんで聴いてみてください。