チェロといえばオーケストラの中でどんな役割のイメージがあるでしょう?
弦楽器の中ではヴァイオリと同じくらいメジャーで人気があるチェロ。
演奏しているフォームが優雅でもあり苦悩している雰囲気も感じさせるような大人っぽさもあって、とても深く魅力的な音を奏でます。
しかも、ヴァイオリン同様に演奏している人が誰でもサマになって見えるような不思議な楽器(ここまで思うのは私だけかも)。
全体的に音が低めで、ヴァイオリンがオーケストラの中で高音部の女王さまだとしたらチェロは低音部の王子様みたいなイメージ。
音が低めなので低音部担当としてオーケストラを支えることはもちろんですが、チェロの役割はそれだけではありません。
魅力的な音色で音域も広いので、低音部以外にも幅広い役目を果しています。
今回はオーケストラのチェロの役割について見ていきましょう。
オーケストラのチェロの役割
では早速見ていきましょう。
チェロのオーケストラでの役割は大体次の3つです。
- 主に低音部。
- 内声部や伴奏。
- 時々主旋律を弾くことも。
それでは1つずつ見ていきます。
主な役割は低音部
チェロのオーケストラでの主な役割は低音部の担当です。
低音というのはとても大切です。
音楽をパッと聴いた感じでは高音部の主旋律が耳に付きやすいかもしれませんが、高音部がより良く演奏出来るためにはしっかりとした低音の響きが必要不可欠。
更に低い音が出るコントラバスと一緒になって、オーケストラ全体の響きを支えます。
内声部や伴奏を担当することもアリ
チェロのオーケストラでの役割は低音部だけではありません。
時にはヴィオラや第2ヴァイオリンと一緒にサウンドの内声部を担当して、オーケストラの響きを内側から支える役目も果たします。
チェロが内声を担当する時には、第2ヴァイオリンやヴィオラとのチームワークも大切。
第2ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの「3パート内声チーム」が自分たちの役割をしっかりと考え、バランスよく音を響かせる必要があります。
音が低くて音色に深みがあるチェロは内声の中の低音部を担当し、音楽全体の響きにより深みを持たせてくれます。
その他、伴奏の役割にまわることも多いです。
伴奏は、正確なテンポ・リズムでしっかりと響かせることにより、旋律その他のパートがそれに乗っかって安心して演奏出来るというとても大切なもの。
その重要な伴奏をチェロは深い豊かな音でしっかりと演奏してくれます。
ステキな主旋律を弾くことも
音域が低めのチェロですが、低音部や内声部だけでなく、第1ヴァイオリンのように主役となる主旋律を弾くこともあります。
低い音で主旋律を弾いても何だか地味そう、なんて思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
低音とはいえチェロの音には華やかさがあり、また低めの音だからこそ表現できる、大人の魅力いっぱいの旋律を奏でることが出来ます。
また、音域がとても広いのでヴァイオリン並みの高い音で演奏することも。
音だけを聴くと、あれヴァイオリンが弾いてる?と間違えるくらい高い音を出す事も出来るんです。
チェロにとって高音を出すのは高い技術が必要で大きな緊張感も伴うのでそんなに頻繁には出てきませんが、ヴァイオリンの高音とは違い、厚みのある渋い音色で高音を歌い上げます。
チェロのちょっとした豆知識
では、ここでチェロのちょっとした豆知識をご紹介しましょう。
チェロの名前の由来
チェロの正式な名前は「ヴィオロンチェロ(Violoncello)」と言います。
このVioloncelloとはイタリア語で、「violon」と「cello」という2つの意味から成り立っています。
「violon」はヴィオローネというコントラバスの最初の頃の楽器を指し、「cello」はイタリア語で”小さな”を表します。
これを日本語で表すと「小さなヴィオロ―ネ(小さなコントラバス)」という意味になります。
その後Violoncelloが英語圏の国に広まったあと「cello」と略された名前で呼ばれるようになり、現在の「チェロ」という名前が定着しました。
ちなみに現在でもチェロの楽譜には、Violoncello、またはVc(violonとcelloの頭文字)と書かれています。
チェロのすてきな音色
チェロの魅力の1つは「音色」。
チェロの音は人の声に近いと言われています。
それは音域的にも音質的にも人間が発する「声」に近く、人の耳に入ってきても何となく違和感が少なく聴きやすい音であるのはそういう理由からでしょう。
同じ弦楽器であるヴァイオラも人の声に近いと言われていますが、例えるならば、ちょっと高めの音の楽器であるヴィオラが女性の声でチェロが男性の声だと言えます。
チェロの音色は、低音から高音まで癒しのように心地よいです。
チェロは座って演奏が基本
ヴァイオリン・ヴィオラ・コントラバスは立っても座っても演奏出来ますが、チェロはほぼ座って演奏します。
※たまに、エンドピン(楽器を支えるための棒)をかなり長く設定して立って演奏することもあるようですが一般的ではありません。
弦楽合奏などのコンサートに行くと立奏(立って演奏すること)スタイルの演奏会も見かけますが、その場合もチェロだけはキチンとお座りしています。
私の勝手な感想ですが、チェロだけが座っている様子を見ると、何だかかわいく見えてしまうこともあります。
持ち運びがけっこう大変
チェロの長さは約120cm・重さは3.5kgほどで、持ち運ぶにはちょっと大変な大きさ。
しかも、チェロを入れているケースがこれまた重いのです。
ハードケースの重さは通常5~7kgほどあるそうで、楽器の重さと合わせると8~10kgほどになってしまいます。
3kgほどの軽いケースもあるようですが、値段がかなり高いそう。
この楽器を、チェロ弾きの方々は大体背中にしょって持ち運びしています。
自分の子供を背負うように大事におんぶしているんですね。
まとめ
今回は、オーケストラのチェロの役割についてご紹介しました。
チェロは低音楽器なのでオーケストラでは単純に低音部担当だろうと思ったら、以外にもとても多くの役割を担っていましたね。
内声部を担当したり伴奏にまわったり、時には主役になる旋律まで。
まるでどんな役でも完璧に演じてしまう名役者のようで、ある意味オーケストラで1番輝いている楽器かもしれません。
今度オーケストラを聴く機会があったら、いろんな役割をサラリとこなしてしまうとってもスマートなチェロの活躍ぶりをじっくり味わってみてくださいね。