コントラバスはとっても大きくてものすごく音の低い弦楽器。
音の低さや大きくてどっしりと落ち着いた雰囲気を感じさせるところは、まるでオーケストラの中の大黒柱のように見えます。
あまりにも音が低すぎて、聴いているとドなのかレなのか何の音か分からないこともあるコントラバス。
図体だけ大きくて演奏は地味そうだし、オーケストラの主役になることもなくてつまらなさそうと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
コントラバスがないオーケストラなんてあり得ないというくらい、実はとっても重要な役割を担っているんです。
今回はオーケストラの中のコントラバスの役割について見ていきましょう。
オーケストラのコントラバスの役割
では、早速見ていきましょう。
単なる低音楽器でなく、コントラバスの存在そのものの大きさ・貴重さがお分かり頂けるでしょう。
低音の王様「コントラバス」
オーケストラの中の大黒柱的存在コントラバスの主な役割は以下になります。
- 低音でオーケストラ全体の響きをしっかりと支えること。
コントラバスは主旋律や目立ったメロディーを弾くことはあまりありませんが、低音で音楽をしっかりと支えるというとても重要な役割を持っています。
音楽は色んなパートから成り立っています。
目立った旋律を主に担当する高音部、ハーモニーの中身を充実させる働きの中音部、全体の響きをしっかりと支える低音部、その他いろいろ。
コントラバスは低音部にあたり、しかも低音の中の低音「キング・オブ・低音」とも言える楽器。
その音の低さはちょっとやそっとの低音ではありません。
音の低さの迫力が違います。
最初にも少し書きましたが、低すぎて何の音か分からず、「音」ではなくまるで振動とか地響きのように感じる事もあるくらいなんです。
オーケストラ全体のサウンドが乗っかってもビクともしないくらい、とっても心強い振動という名の低音。
それがコントラバスの響きです。
これは、ヴァイオリンとかフルートなどが低音でどんなに頑張っても、コントラバスのようにオーケストラ全体を支えることは出来ません。
オーケストラを支える「低音のボス」は、コントラバスにしかできない役割なのです。
ちなみに、オーケストラのコントラバスの位置は下の画像の水色の位置です。
大抵は客席側からみて右端がコントラバスの位置です。
配置の種類によって客席側からみて左側にくることもあります。
その他オーケストラの詳しい楽器配置について知りたい方はこちらをどうぞ。
低音部担当はとても大事
建物のことを例えにして考えてみましょう。
建物を見る時は地上から見えている上の部分にばかり目がいきがちですが、どんなに華やかで立派に見えていても、その建物の土台がしっかり作られていなければまともに建っていられません。
音楽も同じです。
メロディーがきれいに演奏していても、土台となる低音部がしっかりしていなければ音楽としてキレイに成り立たないのです。
コントラバスは、この建物の土台となる役割を力強い響きで果たしてくれます。
時には旋律を奏でることも
低音部担当で、目立った旋律を演奏することが少ないコントラバスですが、それでも時には主役となる旋律を担当する事もあります。
その1つが、ベートーベン作曲の交響曲第5番「運命」の第3楽章のトリオの部分。
ここでコントラバスとチェロが一緒に旋律を演奏しますが、ここのコントラバスはスゴ過ぎます。
テンポも速めで、弓を左右にユサユサ振って演奏しているコントラバス奏者からはただならぬものが伝わってきますし、音も超ゴリゴリに響きます。
オレ達は単なる低音担当だけじゃないんだぜ、とばかりにイケてる雰囲気を飛ばしまくりです。
コントラバスのちょっとした豆知識
それではここでコントラバスの豆知識をご紹介しましょう。
呼び方がたくさん
コントラバスは、クラシックのオーケストラだけでなく吹奏楽やジャズでも大活躍する楽器です。
そして演奏するジャンルによって楽器の呼び方が変わります。
オーケストラ | コントラバス、ベース、 |
吹奏楽 | 弦バス、ストリングベース |
ジャズ | ウッドベース、アコースティックベース、ダブルベース |
ここに挙げた呼び方はあくまで一般的なもので、同じジャンルでも人によって呼び方は様々ですが、1つの楽器でこんなに多くの呼び名がある楽器は他にはなかなかありません。
ちなみに、ウッドベースは一見英語のようですが、これは日本だけで使われている和製英語です。
呼び方によって音楽ジャンルの特徴が表れているとも言えますね。
ハンパない大きさ
コントラバスは大きい楽器ですが、その大きさはちょっとやそっとのサイズではありません。
全長は約170cm~200cm、楽器の胴回りは50cm~60cmくらい、重さは約10kg。
大きすぎて私なら絶対運べなさそう。
ただ、運ぶと言っても色々なやり方があります。
身長が高い方ならケースに入れたコントラバスを肩にかけて運べますし、そうでない場合はキャリーカートに乗せたり、または楽器の底の部分に運ぶための小さいタイヤを取り付けて運んだりなどなど。
工夫すれば、小柄な方でも運搬できるんです。
また、コントラバスのサイズは色々あって、1/2サイズとか3/4サイズとか子供や女性でも演奏しやすい大きさのものも作られています。
国によっても大きさの基準に違いがあって、欧米の3/4サイズが日本の4/4(フルサイズ)にあたる、ということもあります。
でも、3/4サイズといってもやっぱり大きい事には変わりないですから、コントラバスは、人間が1人で運ぶことができる最大の楽器の1つといえるでしょう。
ジャズでも大活躍
コントラバスはジャズでもよく使われる楽器です。
ジャズのピアノトリオといえば、ピアノ・コントラバス・ドラムの3つの楽器が一般的。
オーケストラではお父さん的役割のコントラバスですが、ジャズでの演奏は指で弦をはじくピッツィカートが主な奏法で、軽やかさと渋さを合わせ持ったオシャレ感あふれる低音担当に変身します。
同じ楽器でも、ジャンルによって雰囲気が変わるところがおもしろいですね。
まとめ
今回は、オーケストラのコントラバスの役割についてみていきました。
コントラバスはオーケストラの低音部担当ですが、その存在はなくてはならないとっても大きなもの。
オーケストラの中でコントラバスは端に配置されいますが、楽器が大きい事もあって客席から見ていてもとても目立ちます。
大きい編成のオーケストラ曲の場合はコントラバスが10人程になりますが、大きい楽器が10個もズラッと並んでいるとそれだけで結構な迫力。
そして、そのくらいの人数で振動のような超低音を一斉に演奏すると、何とも言えない安定感が音楽ホール中に広がります。
そんなガッチリとしたコントラバスの低音があるからこそ、他のオーケストラ団員は安心して演奏が出来るんです。
今度オーケストラの演奏を聴く機会があれば、サウンド全体を支える一家の大黒柱のようなコントラバスの頼もしい低音にぜひ耳を傾けてみてくださいね。